Ⅴ-5 DD-Wing (New)

これまでの2択連鎖の手筋は、始点と終点のどちらかが必ず同じ数字になる、という攻略手法でしたが、本項の DD-Wing では始点と終点が違う数字になる、という点が大きく異なります。

 

始点と終点は、お互いに直接見える位置に配置される事が必要な要件で、始点と終点の数字が異なる( Different Digit )事から DD-Wing と名付けました。

〔1〕DD-Wing Ⅰ型(如意棒同志 2マス排除型)

如意棒・2値マス等の2択の複合連鎖において、始点と終点に数字の異なる如意棒2本の片端同士が、お互いに直接見える位置に配置され、排除マスが2マスとなるパターンです。

 

このパターンでは、始点マスから終点の数字が、終点マスからは始点の数字が、各々排除される面白い攻略手法になります。次に、代表的な例を示します。

 

数字の異なる如意棒3本が、片端共有で3連鎖し、始点と終点がお互いに見える為、DD-Wing 成立。

 

8行目の2択の如意棒(数字3)に着目。

B8=3だとB2=1、よって、B2≠7、H2≠1

H8=3だとH2=7、よって、H2≠1、B2≠7

 

上記より、B8・H8のどちらが3でも、水色のB2マスから数字7、H2マスから数字1が排除されます。

上図では8行目でしたが、どの2択に着目しても結果は同じです。

  ◆DD-Wing Ⅰ型のバリエーション例

このパターンでは、如意棒の始点と終点マスが、ブロック間又は、ブロック内で対峙する2つのタイプがあります。いずれも、始点・終点の2マスが排除マスになります。

 

如意棒の片端同士が、ブロック間でお互いに直接見える位置に配置された、2択の3連鎖の例です。

 

DD-Wing の手筋の働きにより、水色のB2マスから数字1、B8マスから7が排除されます。

 

こちらも、如意棒の始点・終点がブロック間で対峙する、2択4連鎖の例です。

 

如意棒・2値マスのどの2択に着目しても、B5=1、又は、H5=7のどちらかが真となります。

 

このため、B5から7、H5から1が排除されます。

 

この図は、如意棒の始点・終点がブロック内で対峙する、2択の3連鎖の例です。

 

如意棒・2値マスのどの2択に着目しても、D3=7、又は、E1=1のどちらかが真となります。

 

このため、D3から1、E1から7が排除されます。

 

左図の上・下2図は、いずれも2択連鎖が3連ブロック内で完結するシンプルな攻略型です。

 

上段は、如意棒の終端同志がブロック内で対峙する例で、G1=1、又は、H3=7のどちらかが真となる為、G1から7、H3から1が排除されます。

 

下段は、ブロック間で如意棒の終端同志が対峙する例で、B7から8、I7から2が排除されます。

〔2〕DD-Wing Ⅱ型(如意棒同志 1マス排除型)

Ⅰ型と同様に、始点と終点が2本の如意棒の片端同志で、始点と終点の2マスが排除マスの候補ですが、どちらか1マスのみが排除マスとして有効となるパターンです。

 

如意棒3本の2択連鎖で、始点と終点の数字が異なり、お互いに見える位置にあるため DD-Wing が成立。

 

B2・F2の2マスが排除マス候補ですが、この例ではF2の1マスから数字7が排除されます。

 

B2マスは、B列の数字1の如意棒の線上に有る為、元々数字1が入らず有効な排除マスになりません。

 

如意棒と2値マスの3連鎖で、始点と終点を含む如意棒2本が直角方向に配置されたⅡ型の例です。

 

B2・H2の2マスが排除マス候補ですが、この例では、B2の1マスから数字7が排除されます。

 

H2マスは、2行目に数字1の如意棒があるため、元々数字1が入らず排除マスにはなりません。

 

左図の上・下2図は、いずれも2択連鎖が3連ブロック内に収まるコンパクトな攻略型です。

 

上段は、始点・終点がブロック内で対峙する例で、A2マスから数字7が排除されます。B3マスは、数字1の如意棒の影響で排除マスになりません。

 

下段は、始点・終点がブロック間で対峙する例で、H7マスから数字2が排除されます。B7は排除マスになりません。

〔3〕DD-Wing Ⅲ型 (如意棒 vs 2値マス型)

如意棒と2値マス等の複合連鎖で、始点と終点が、如意棒の片端と2値マスの組み合わせとなるパターンです。この型は、如意棒側の終端1マスだけが排除マスになります。

 

如意棒2本と2値マスの複合3連鎖で、始点と終点がブロック間でお互いに見える配置の例です。

 

連鎖中のどの2択に注目しても、B5=1、又は、B8=7のどちらかが必ず真となる為、B5から7が排除されます。

 

B8マスからも1が排除されそうですが、元々3・7以外の数字は入らない為、排除マスにはなりません。

 

如意棒2本と、2値マス2個の複合4連鎖で、始点と終点が

ブロック内でお互いに見える配置の例です。

 

連鎖中のどの2択に注目しても、D8=1、又は、F7=7のどちらかが必ず真となる為、D8から7が排除されます。

 

 

左図の上・下2図は、3連ブロック内のコンパクな攻略型。

 

上段は、始点・終点がブロック内対峙の例で、G1から数字8が排除されます。H3は2値マスで、排除マスになりません。

 

下段は、始点・終点がブロック間対峙の例で、B7から数字7が排除されます。

 

如意棒と2値マスの複合3連鎖で、始点・終点のA8・C2はお互いに直接見えない配置ですが、左中のPLブロックを介して間接的に見える形となる例です。

 

始点と終点は、A8=1・C2=7のどちらが真となるため、如意棒側のC2から1が排除されます。

〔4〕Grouped DD-Wing(連鎖途中のFin付き)

2択の連鎖中に、如意棒同志または如意棒と2値マスが、ブロック内で連結されている場合、如意棒の片端に余分な数字を付け、Fin 付きとする事ができます。

 

Fin 付きの如意棒の片端はグループ化して1つの数字とみなす事で、Fin の付かない通常の如意棒と同等な働きとなり、排除マスと排除される数字に違いはありません。

 

C列と9行目が Fin 付きの如意棒で、左上ブロックが如意棒と2値マス、左下ブロックが如意棒同志の連結例です。

 

左図のように、如意棒に Fin が付いても、2択連鎖は継続されるため、連鎖の始点・終点でG7=7、H9=3のどちらかが真となるのは変わりません。

 

そして、、DD-Wing の解法により、G7マスから数字3、

H9マスから数字7が排除されます。

 

Fin 付き如意棒を含むDD-Wing が、3連ブロック内に配置されるパターンです。

 

上段は、Fin 付き如意棒と2値マス連結の2択3連鎖例で、B2マスから数字1が排除されます。

 

下段は、Fin 付きの如意棒同志をブロック内連結した例で、G7マスから数字8が排除されます。

〔5〕Finned DD-Wing

DD-Wing の2択連鎖において、始点と終点が如意棒同志で、かつ同じブロック内に同居している場合、一方の如意棒に余分な数字: Fin を付ける事ができます。

 

そして、Fin が付いた影響で、排除マスは FIn の付かない如意棒の片端に限定されます。

 

如意棒の片端同士がブロック内で同居し、一方の如意棒に

Fin が付いた Finned DD-Wing の例です。

 

2択連鎖の始点・終点で、E7が1 又は D9・E9・F9の

3マスのいずれかが7となる為、E7から7が排除されます。

 

2択連鎖が3連ブロック内に収まる配置で、始点・終点のどちらかが FIn 付き如意棒となる例です。

 

上図は、Fin 無しと Fin 付きの如意棒の片端がブロック内で対峙する例で、Fin の無いH1から7が排除されます。

 

下図も、Fin の無いB9マスから数字8が排除されます。

〔6〕DD-Wing の実戦的な活用例

DD-Wing は、2択の複合連鎖の中でも、検出は難しい部類に入りますが、シンプルな攻略形も多く、慣れてくれば意外と使い勝手の良い手筋ではないかと思っています。

 

特に、3連続ブロック内に収まるコンパクトな攻略型は取り組み易く、ペンシルマークが有効活用できる事や、捜索範囲がさほど広くない事などの特徴も有ります。

 

以下に、3連ブロック内に収まる DD-Wing の一例を示します。

 

まず、中段の3連ブロックに注目、縦横戦法により、左中Bに数字1・7、右中Bに数字1・3のブロック内2択の候補数字が抽出されます。

 

この時、B5-G5、及び、B6-G6マスが、ブロック間で2択の如意棒として使えるのがポイントです。

ペンシルマークが、如意棒検出の目印となっています。

 

<↓下図へ>

 

B6-G6マスを数字1の如意棒として活用する事で、如意棒3本をマス内連結した DD-Wingが成立します。

 

そして、DD-Wing の解法により、A4から数字3、I4から数字7が排除されます。

 

次にI2・I4マスは元々、数字7が2択の配置となっており、結果的に I2=7 が確定します。

上記は、2択3連鎖の例でしたが、3連鎖で攻略できる配置が検出できない場合、4連鎖等へ捜索範囲を広げる事が有効な場合もあります。

 

<上段の3連ブロック>

数字1・3の如意棒の2連鎖後、右方向を探して数字5・7の如意棒が見つかる例です。

攻略結果は、A1≠7、I1≠1となります。

 

<下段の3連ブロック>

数字2・4・6の如意棒の3連鎖後、諦めずに、数字8の如意棒を追加検出し、攻略へ繋げる例です。

攻略結果は、A7≠8、I7≠2となります。

次は、ペンシルマークを活用して抽出した如意棒を、離れたブロックから活用する例です。

 

まず、右側の3連ブロック内で、右上Bに数字5、右下Bに数字5・8の候補数字を抽出します(赤字の小数字)。

 

次に、G列の数字5を如意棒として活用し、D列の2値マスと繋いで2択3連鎖とする事で DD-Wing が成立。

(右上の数字5の斜め2択が、ブロック間連結のポイント)

 

DD-Wing の解法により、G8≠8となりますが、数字8は元々2択のため、I9=8が確定します。

この他にも、多くの変化形がありますが、縦横戦法による候補数字、交点戦法による2値マス等の抽出は、他の手筋に対しても有効な情報となります。