第Ⅵ章 名人の手筋(New)

    <スポンサード リンク>


〔1〕 攻略手筋の体系的まとめ

ナンプレ攻略手筋の纏めとして、手筋の検出方法や数字排除の仕組みの類似性に着目し、包含関係等も考慮して、主要手筋の関連を表にしてみました。

 

表の右方向が手筋の難易度が高く、下位手筋を包含した上位手筋となる感じです。

X-Wing、 Skyscraper、 2-String Kite、Empty Rectangle の手筋は、Single Digit Solution という考え方で、上位概念の SD-Chain の解法に集約されます。

 

また、SD-Chain 自身も、 W-Wing、M-Wing、XY-Chain 等と共に、Nice Chain の解法に統合され、より一般化される事など、上位手筋との包含関係が一つのポイントです。

このような上位手筋の概念の理解は、下位の手筋が同じ考え方の下に統一される事で、手筋間の垣根が低くなり、実戦での手筋検出が少し容易になる効果があると思います。

〔2〕 実戦とソルバー

南碁空のナンプレ上達方法は、自分の実力レベルに応じた問題をひたすら解くこと、及び、攻略手筋を解説した書籍やネット上のサイトでのテクニック修得の繰り返しです。

- 難易度の高いナンプレ問題等の参考書籍

 

この中で、問題が難しい、又は、見逃し等で行き詰ったとき、何日も解けない状態が続く事がありますが、こんな時はソルバーを活用します。

 

リンク集で紹介したソルバーは、見逃していた手筋や、手筋の実戦的な適用パターンを、一手毎に確認できる為、実戦力強化に有効なツールと思います。

 

以前、フィンランド人の科学者Arto Inkala博士が、数独作成プログラムにより3ヶ月かけて作成した「世界一難しい数独」というニュースを見かけたのでやってみました。

 

「世界一難しい数独」の問題図

確かにとても難しく、まず、基本的な縦横戦法で、E2・F5に数字が確定し、左中Bに2国同盟が検出されます。

 

次に、2-String Kite、Finned X-Wing 等の手筋が検出されますが、ここで手が止まります。

 

こんな時がソルバーの出番、HoDoKu のソルバーを使って以降の手順を確認します。

このソルバーは、手筋毎の使用可否や検出の優先順も設定可能であり、後回しで検出したい手筋

(Avoidable rectangle、Sue de Coq等)は、事前に優先度を下げておくと良いです。
 
優先順位設定は、左上の Edit 又は、右下ボタンで Preferences 画面を出し、Solver タブ内の Up・Down 釦で操作できます。また、手筋毎の使用可否はチェックボックス。
 
難しい手筋が必要な局面では、Discontinuous Nice Loop が検出される場合も多いですが、本サイトでは Nice Chain(≒AIC)  として紹介しています。
  

   ◆ソルバーでの検出手筋を参考にした、主要手筋の流れの例

 

まず最初に、Brute Force(総当たり的な解法)で、右中ブロックのあるマスに数字が確定します。これは、コンピュータでないと導き出せないような感じですが、以降は、本サイトで紹介している手筋を適用して攻略を進める事ができます。

 

◇ DD-Wing Ⅰ型

◇ 一直線打法・平行線打法

◇ X-Wing

◇ Nice Chain Ⅰ型

◇ DD-Wing Ⅲ型

◇ Finned Skyscraper

◇ 2国同盟、3国同盟

◇ W-Wing

 

Brute Force を別にすると、基本的な手筋から難しい手筋までを駆使する必要があり、実戦的な

手筋修得に役立つ作品と思いました。

〔3〕 2択のN+1連鎖

実戦での2択連鎖の捜索や、ソルバーでの手筋検出の場面等で、2択N連鎖の攻略形より、2択が一つ多い、2択のN+1連鎖の方が先に検出される場合があります。

 

2択N連鎖があれば、2択N+1連鎖は不要のため、2択N+1連鎖について本サイトでは触れてませんが、その違いについて以下にいくつかの例を示します。

 

C5の2値マス、2行目・G列の2択3連鎖に、左下ブロックの如意棒(緑色)が加わった、2択3+1連鎖の例です。

 

2択3連鎖では、M-Wing の解法により、C9マスから数字7が排除され、次に、A8=7となります。

 

2択3+1連鎖でも、連鎖の両端A8・C5のどちらかが7となる為、灰色4マス≠7、そして、A8=7が確定します。

上図は、2択3連鎖・3+1連鎖以外に、矛盾を検出する手法で解く事もできます。


左下ブロックの如意棒は、A8・C9のどちらか数字7ですが、、C9=7の場合は連鎖を辿るとC9≠7で矛盾が発生するため、C9≠7が正解となり、次にA8=7が確定します。


以下も、2択N+1連鎖の例です。

 

B列・8行目の2択2連鎖に、右上ブロックの2値マスが追加され、2択2+1連鎖になった例です。

 

2択2連鎖では、2-String Kite の解法により、H2マスから数字1が排除され、次に、H2=7となります。

 

2択2+1連鎖でも、DD-Wing の解法により、H2≠1、

H8≠7となり、そして、H2=7が確定します。

 

A6の2値マス、H列・4行目の2択3連鎖に、C列の如意棒(緑色)が加わって、2択3+1連鎖になった例です。

 

2択3連鎖では、DD-Wing の解法により、C4から数字1が排除され、次に、C2=1となります。

 

2択3+1連鎖でも、連鎖の両端A6・C2のどちらかが1となる為、灰色4マス≠1、そして、C2=1が確定します。

いずれも、2択N連鎖の攻略結果として排除マスになるマスに、排除される数字を含む2択を追加して、2択N+1連鎖となっている為、連鎖途中の数字が一つ排除されます。


この事から、2択N+1連鎖は、自食Chain のような感じで少し違和感はありますが、上記例の様に、2択N連鎖とほぼ同じ攻略結果となる為、有効な攻略手段の一つと言えます。

〔4〕 Discontinuous Nice Loop(参考)

2択連鎖を活用した上位手筋の Chain 系は、本サイトでは Nice Chain(≒AIC) として紹介していますが、一般的には Discontinuous Nice Loop(DNL) が良く知られています。

 

DNLは所定ルールの下、如意棒と2値マスの連鎖が、不連続点を含んでループ状(輪)になったもので、不連続点を真と仮定して矛盾を検出する事が攻略の特徴になります。

(連鎖の両端を同時に見る事が出来るマスが不連続点)

 

左図は、H2に不連続点を含む DNL の例です。

 

H2=7 と仮定してループを辿ると矛盾が発生する為、最初の仮定が誤りで、H2≠7 が正解となります。

 

2択連鎖系の手筋では M-Wing が適用でき、連鎖の両端どちらかが数字7になる為、H2≠7となります。

 

左図は、灰色6マスが不連続点となる DNL の例です。

 

I3=7 と仮定してループを辿ると矛盾が発生する為、最初の仮定は誤りで、I3≠7 が正解となります。

 

但し、この配置では、不連続点が複数個有る為、一般的には

2択連鎖系の手筋で攻略を行います。

 

(2択連鎖系の W-Wing では、灰色6マス≠7)

 

左図は、水色2マスに不連続点を含む DNL の例です。

 

B8=7と仮定してループを辿ると矛盾が発生する為、最初の仮定が誤りで、B8≠7が正解となります。

 

2択連鎖では、DD-Wing の手筋により、B8≠7、H8≠1となります。

Nice Chain (2択連鎖系)の手筋で排除マスを検出した場合、排除マスに排除される数字を仮に入れ、矛盾の発生により、その正しさを検証する事が有ります。

 

この、矛盾の発生で検証する手順は、矛盾の検出を利用する DNL の攻略手法と同じであり、逆に、DNL で検出した排除マスは、Nice Chain 側から検証する事もできます。

 

この事は、Discontinuous Nice Loop(DNL) と Nice Chain(≒AIC) は表裏のような関係にあり、攻略の仕組み等いろいろ異なりますが、お互いに置き換え可能な手筋と思われます。